sora-satoのブログ

庄村聡泰さんについて自由気ままに語る[聡blog]です!

Enc.29 Where's My History?(前編)

こんにちは。

宙組(そらぐみ)です。

 

今日は先日、幕張メッセにて行われたワンマンライブ「Where's My Yoyogi?」について書きたいと思います!

 

noteという媒体で書いたものをこちらにも引っ張ってきました。(noteはこちら→https://note.com/soragumi_com)

 

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泣き腫らしてパンパンに重たくなった瞼を開け、ガンガンと痛む眉間に指を当てながらコレを書いている。ついさっき、幕張メッセにて行われた[Alexandros]のライブが終わったばかりだ。(記事が完成した今は、日にちも経って落ち着いています。)

 

昨年1月に、それまで局所性ジストニアにて活動をお休みしていたドラムス・庄村聡泰(以下:サトヤス)の勇退が発表された。
(その時の感情はここに書きなぐっています↓
https://ongakubun.com/posts/5043
今になって改めて、忘れないうちに書いてて良かったと思う。だから今も必死に目を開けて再び泣きそうになりながら文字を綴っているのだ。)


[Alexandros]は昨年10周年イヤーで、ベストアルバムのリリースやツアーなど沢山のイベントを拵えていた。そしてサトヤスは5月にリリースされるベストアルバムを以て勇退、となっていた。

しかし、そこに突如現れた"憎い"ウィルス蔓延。それらのイベントは尽く無くなり、先の見えない日々が続いた。ただ、一言で"憎い"と片付けられない想いが私にはあった。大好きなサトヤスの、勇退が延びたのだ。

 

勿論、計り知れない程の苦悩や葛藤を乗り越えた上での決断だっただろうから、宙ぶらりんになった状態を手放しに良かったと喜ぶのが不謹慎なのは分かってる。でも、延びたからこそ、8月に開催された『THIS SUMMER FESTIVAL』ではMCとしてステージに立つサトヤスの姿を見ることが出来たし、FCコンテンツの動画や企画で、相変わらず切れ味抜群のトークを繰り広げる様子も見ることができた。1ファンの私としては[Alexandros]の庄村聡泰が見れる機会が増えたのは素直に嬉しいことだった。

 

時が経ち、エンタメ界の感染対策ガイドラインも確立して、少しずつ一定の制限下でライブ活動が再開し始めた頃、改めてベストアルバムのリリースとワンマンライブが決定。ベストアルバムのタイトルは『Where is My History?』。10年前にリリースしたデビューアルバム『Where's My Potato?』をもじった上に、10年の歴史を感じるタイトル。そしてワンマンライブは、下積み時代にずっと路上ライブをしていた代々木公園の敷地内にある代々木第一体育館にて開催されることになった。タイトルは『Where's My Yoyogi?』で、日程はデビュー日の1月20日を含んだ2Days。コロナのお陰、と言ったら語弊になるかもしれないが、ベストアルバムの発売が延期になったことで、デビュー日に、想い入れのある代々木でライブをやることになったと思うとさすがは[Alexandros]、今まで数々の逆境に打ち勝ってきただけあるな、流れを手繰り寄せてるな、と思った。


しかし、そんなことを思ったのも束の間。2度目の緊急事態宣言を受け代々木公演も延期に。何があっても前向きに活動してきた彼らにこんな仕打ちあるか?と悔しくなったりもしたけど、それでも、最初の発表から幾度となる変更を乗り越え、最終的な開催は3月20日、21日の幕張メッセで決定した。(本当に"Where's My Yoyogi?"になったのだ…。笑) そしてこれまた奇遇なことに、3月21日は庄村聡泰の誕生日。川上洋平(Gt.Vo)の言葉を借りるなら本当に「サトヤス、なんか持ってるな」といった感じだ。

 

 


待ちに待った(というより若干きてほしくなかった)3月21日。悪天候による交通機関の乱れで15分遅れの開演となったが、様々な感染防止対策も含め、無事にライブが始まった。

 

彼等のお馴染みの出囃子『Burger Queen』が場内に流れると、スクリーンには彼らの幼少期や学生時代の写真がスライドショーの様に次々と映し出された。面影があったりなかったり、兎にも角にも可愛い少年たち。続いて画面に大きく「2001年 秋」と映し出され、当時の川上と磯部寛之(Ba.Cho)の様子を子役が再現したVTRが流れる。彼女に振られて落ち込んでる磯部を川上がバンドに誘うシーンだ。[Champagne]([Alexandros]の旧名)が結成された瞬間。
更に時は経ち、「2008年」のとある日。川上が、磯部、白井眞輝(Gt.)、旧メンバーの石川博基(Dr.)が待つ部屋に「いい曲できた!」と笑顔で入る。満を持して川上が弾いたイントロは何拍子とも言えない複雑なリズムだった。「それ、曲?」 「なにそのリズム…」とメンバーが首を傾げたところで、会場は暗転した。

 

いつの間にかステージに立っていた彼等が赤い照明に照らされ鳴らしたのは、「なにそのリズム…」な『For Freedom』。路上ライブで通りかかる人に少しでも振り向いて貰う為に、耳馴染みのよい楽曲の制作を意識しすぎて溜まった鬱憤を晴らした曲だとか。まさにヘイトが爆発するようなロックナンバー。そして磯部が「いけるか幕張ーー!!」と叫ぶと、会場のボルテージは一瞬にして急上昇。そして間髪入れずに色気たっぷりの『She's Very』が届けられ、心地よいグルーヴが光った。


再び始まったVTRで、メンバーは肩落としため息をついていた。デビューが決まったタイミングでドラマーが抜けてしまったのだ。残された3人で考えた結果、迷わず思いついたドラマーがいた。

 

そう、サトヤスの加入だ。

 

映像が消えると、ライブではお決まりとなったドラムパターンから『City』のアルペジオになだれ込み、観客のクラップが揃う。サトヤスの、いわゆるデビュー曲だ。この10年を語るのに無くてはならない曲の1つで、勇退発表があってからの1年、より一層心を込めて聴いた曲だった。なんとなく「サトヤスの曲」というイメージのあるこの曲を聴くと、脳内にありありとサトヤスが叩いてる様子が思い浮かぶ。ラストサビの前のタム回しを聴くと『It's Me And Me Against The World』に収録されている「2011.08.28 SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2011」で半裸でヘアバンドをして頭を振りながら叩いてる姿を思い出したりもする。そんな風にサトヤスを思いながら、忠実に彼が叩いていたフレーズを刻むリアド偉武(サポートDr.)の姿を見ていたら思わず涙がこぼれてきた。彼等が変わらずに活動できたのは紛れもなくリアドのお陰で、彼に対する感謝の気持ち、そしてサトヤスのことを思う愛おしい気持ちで、涙がこぼれた。

 

そして『City』の次に続いたのは意外にも『Rocknrolla!』。(かなりマイナー曲。)モニターには、演奏するメンバーがサーモグラフィーで映される。これはMVでも使われていた手法だ。これもまた転調の嵐で、間奏でちょっと穏やかなメロディになったかと思ったらゲリラ豪雨が襲ってきたかのようにヘヴィなサウンドが押し寄せ、白井がシャウトし、磯部が激しく叩くようにベースを弾く。そしてまた一瞬の静寂を経て怒涛のアウトロへ。半端ない展開と圧倒的なパフォーマンスで幕張メッセの空気を鷲掴みにすると、川上が「僕らなりのラブソングを」と一言添えて『You're So Sweet & I Love You』を披露。バックスクリーンには大きな赤いハートマークが映し出され、照明も白、ピンク、赤、オレンジと暖色が映えるキュートな演出に。さっきのテイストとは一転した演出に、バンドとしての引き出しの多さを感じる。ただ、《オンリーワンじゃクソくらえだ/ナンバーワンがいい/単純明快なこの歌を/世界に投げつけよう》という歌詞の通り、ラブソングと言えど、やはりハングリー精神は剥き出しだ。

 

そしてまたVTRに。「フェスでもっと盛り上がる曲が欲しいな」と悩む川上。少しずつバンドが大きくなっていった様子を醸し出した直後、プロデューサーがスタジオに入ってきて武道館公演が決まったことを喜ばしく伝える。しかし川上は「そうですか」とだけ吐いて、すぐレコーディングに打ち込む。「嬉しくないのか?」と聞かれて「俺らにとって武道館は通過点なんで」と吐いた直後、鳴らされたのは『Waitress,Waitress!』。ラテン風のギターがカッコよく、跳ねるリズムが特徴のこの曲はワンマンのみならずフェスでも大衆を一瞬にして跳ねさせる。そして空気は一変、白井がフライングVで掻き鳴らすリフがかっこいい『Kick&Spin』。ハンドマイクを持った川上は横に広く伸びたステージを歩き、右へ左へ、そして花道へと広い幕張メッセを気持ちよさそうに見渡しながら歌った。磯部や白井も自由自在にステージを行き交う。そしてメインステージに戻り、最大のアンセム『Starrrrrrr』を遠くまで突き抜けるように、高らかな高音を響かせ歌った。規模感が大きいこの3曲の流れは、バンドが大きい存在にどんどん駆け上がっていった時代を示しているようだった。

 

そんな躍進を続ける彼らに起きた事件を引き続き子役が演じる。「バンド名変えなきゃいけなくなったから、考えておいて」と、チーフマネージャーの千田さん。[Champagne]と字面が似ている[Chimpanzee]と、尊敬する人に提案された[Leatherboys]で悩むメンバー。どちらも腑に落ちず、埒が明かない時間が流れた時、白井が言った「世界を目指すなら分かりやすい名前がいいよね」という言葉に「それだ!」と川上。

 

そして新たな名前"[Alexandros]"のロゴを背負って、改名後一発目に鳴らした『Droshky!』を奏で始めると、サウンドインと共に派手な特攻が打ち上がった。眩いレーザーが交錯し、炎も上がる壮大な演出。名前が変わろうとも世界を目指す彼等のスタンスは変わらず、むしろパワーアップしたことを示すように圧巻のパフォーマンスを繰り広げる。そして間髪入れずにドラムのビートから『Dracula La』、『Adventure』と、普段であればファンのシンガロングがお決まりな曲を続けた。「こうみると、[Alexandros]ってシンガロングの曲が多いなって思うね。声は出せないけど、心の中で思いっきりシンガロングしてほしいです!」と川上が言う。確かに彼等の楽曲にはシンガロングが多い。その証拠に、何度も聴いた大音量のシンガロングが脳内で再生され、まるで幕張メッセが本当にシンガロングで包まれたような錯覚に見舞われた。

 

MCを挟み、川上に曲振りを頼まれた白井は「俺の喉は幕張に置いていきます。」と一言捨てると、「いけるか幕張ーーーー!!!」と声を荒らげて叫んだ。普段、ステージ上で寡黙な白井の叫びに、大歓声の代わりの大きな拍手が幕張メッセを包むと、『ワタリドリ』のリフが鳴り響く。彼等を更に遠くまで羽ばたかせていった楽曲。代名詞となった楽曲。何度聴いただろう。閉塞感ある受験期の夜にこの曲を聴いて、気分転換をして机に向かったり、初めて行った彼等のライブの記念すべき1曲目で泣いたり。アコギのアレンジや、キーを変えたバージョンなど沢山聴いてきた。タイアップも多く、沢山の思い出や景色が詰まった曲だ。

 

そして間髪入れずに鳴らした『NEW WALL』。《Sometimes is It's good/Sometimes is bad/愛しい 我が人生》というフレーズが、サトヤスの人生を謳っているように感じて勝手にグッときた。コード進行にフィナーレ感を感じる曲で、なんとなくもう少しで終わってしまうのかなぁ、と寂しい香りがしたところに、『Feel like』。ライブは舵を切りポップに展開していった。色んなジャンルを盛り込んだ6枚目のアルバム『EXIST!』のカラフルさを象徴するような1曲。アルバムのリード曲、という訳ではないけれど、この楽曲を聴くと彼等が繰り出した色んなチャンネルを思い出す。さっきまで力強い拳をあげていたオーディエンスも、ゆらゆらと身体を揺らしていた。

 

「Let's Go Brooklyn in New York!」と川上が言うと、スクリーンにはニューヨーク、ブルックリンの夜景が映し出され、夜景にマッチするダンサブルな『LAST MINUTE』が届けられた。この曲は、7枚目のアルバムを引っ提げて回った全国ツアー『Sleepless in Japan Tour』の1曲目だったこともあって、ツアーのことを思い出すし、ニューヨークでレコーディングをしていた彼等のエピソードも思い出す。こうやって一つ一つの曲に色々な思い出が染み付いていて、聴く度に思い出す。そして洒落た空気から一転、照明が赤く暗いモードに変わると、スタジアム級のロックナンバー『Mosquito Bite』のリフが鳴り響いた。(自由に歓声をあげられていた頃は)このリフの間の静寂に、観客席からよく歓声が上がっていて、私はその空間が好きだった。なんとなく黙って聞いていなきゃいけないような静寂を自由に切り裂くファンの声が、好きなように楽しんで欲しいという[Alexandros]のバンドスタンスを象徴しているようだったから。しかしこのご時世。感染対策で歓声禁止ということもあって川上の強靭なリフだけが痛烈に響いた。これもこれでいいな、なんて心に刻むように1音一音を吸収する。

 

そして本編最後には『PARTY IS OVER』。《君がいないとはじまらないよ/Party is over?/物足りないよ》というサビが、またもや彼を思い出させる。こうやってバンドの年表をVTRと共に辿りながら、トピックに沿った曲を披露していくと、サトヤスを思い出させる歌詞や、サトヤスが派手に叩く姿を思い出させる楽曲があって。愛しい思い出やキラキラ輝いた彼の姿がどの曲にも染み付いている。それらを思い出す為に、このライブが、しかも彼の誕生日に、あったのかなとさえ感じた。


本編最後の曲を鳴らし終えると、彼らは颯爽とステージを去った。暗転した会場に鳴り止まない拍手。

 

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(続きはEnc.30へ)

 

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